『迷子のパンおじさん』『迷子のパンおじさん』前回から引き続き、小説です。 お約束の、うちょ、で~す!!! じゃなくて、最初からフィクションですから、そこのところをお間違えの無いように! <前回のあらすじ> 鬼ヶ島に巣くう極悪ドラゴンの道! ついに羅漢塾塾長の手によって正義の鉄槌が下されようとしていた!! 哀れ!ドラゴンの道、一巻の終わりか!? だったっけ? まあ、どうでも良いや。 今日の稽古をサボると命が無いドラゴンの道! しかし、稽古に参加しても生命の危機を迎える事に変わりはないのであった。 羅漢塾、そこは漢の修業場! 中途半端な実力の者が立ち入る事の出来ぬ聖域! 羅漢塾塾生達は、ここで日夜猛稽古に明け暮れ、己の身体を鍛えに鍛え上げているのであった! しかし、元ヤンのプライドと、生来の怠け癖、更に酒乱とも言うべき酒癖の悪さの三重苦の為、稽古をサボり続けてきたドラゴンの道の実力は、後輩達にブッチぎりで追い抜かれ、いまや、 「あいつ、先輩ヅラしてムカツクから、囲んでボコったろか。」 ということなど無かったとしても、稽古に付いて行くのが精一杯。 いや、それさえ満足に出来ず、ゼエゼエ、ハアハア、心臓バクバク状態となってしまうのが現状であった! この状態でラストの組み手を迎えたら死は確実! どうすれば生き残れるか?! 生存本能をフル活動させて窮余の一策を思い付いたドラゴン! 窮余の一策、それは身代わりを連れて行くこと! とりあえず、手当たり次第に知り合いに電話をかけまくります。 しかしというか、当然の如くか、誰も誘いに乗りません。 やむなく、最後の手段を使う事を決意しました。 最後の手段、それは知り合いのパン職人を呼ぶこと。 このパン職人、仮にナーマオウ・ゲイニンと呼びますが、彼は若い頃、ドイツの高名なパン職人に弟子入りし、修業に明け暮れた揚げ句、モノにならず、パン職人の道を断念した男です。 え?じゃあパン職人じゃないじゃないかって? その通りです。 実は彼は、夢を諦めきれない為か、自作のパンを焼いては、知り合いのところに持って行き、 「旨いか?旨いか?旨いか?旨いか?旨いか?旨いか?旨いか?旨いか?旨いか?旨いか?」 と迫っています。 そんな彼を恐れた者達が付けたあだ名が「パン職人」なのです! パン職人を断念した彼は、自暴自棄となり、どこぞのツマラン会社に就職したものの、そこでもモノにならず、現在窓際部長と称し、毎日遊んで給料を貰っているとか、いないとか? まあ、コイツのことはどうでも良いのです。 最近は暇を持て余してどこぞの亜流の空手道場に通い出したものの、なんと!ここでもモノにならず、青帯止まりだったとか………。(涙) すみません、あまりの哀れさに思わず涙してしまいました。 青帯でも一応空手家です。 羅漢塾は、来る者を拒みません。 しかし、ここで問題が一つ有りました。 それは、二人が犬猿の仲であること! どうやったら誘い出せるか? まともに誘っても来る訳が有りません。 「よお、ナーマオウ。ヒマか?ヒマやろ?ちょっと出てけえへんか?とっておきの旨いラーメン屋に連れてったるわ。」 「どうしたんや、お前?変なモンでも食うたんか?気色悪いのお。」 「なに言うてんねん!俺はお前の相方やんけ!ラーメン食いながら新しいネタでも考えようぜ。」 「よう分からんけど、ラーメン奢ってくれるんやったら行ってもええで。」 「分かった、分かった。好きなだけ食わしたるわ。」(生きてたらな) 「なんか言うたか?」 「なんでもないって!集合場所は羅漢塾やぞ。遅れずに来いよ。」 意気揚々と安心して羅漢塾に向かうドラゴンの道。 しかし、彼は忘れていた。 ナーマオウが約束の時間を守ったことの無いことを! 稽古についていけず、心臓バクバク、突然死寸前のドラゴンの道の前に、のほほんと遅れてやってきたナーマオウ! ラーメンを探して羅漢塾のあちらこちらをゴソゴソ探しているところを塾生の皆さんに取っ捕まったナーマオウが体験入門させて頂くという栄誉に預かっているスキにドラゴンの道は命からがら、その場から逃げ出したのでした。 <次回予告> 正式に塾長から破門を言い渡されたドラゴンの道! すさんだ生活の中、ヤクザと乱闘になり殺してしまう! 正当防衛が成立したものの、遺された母子に責められ、空手を捨てる決意をするのであった! 続きません! |